【映画&ドラマ】愛する人の死は最新技術で乗り越えられる?近未来作品9選

愛する人の死と最新技術 映画 映画

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愛する人を失ったとき、
もし技術がその人を”取り戻す”手段を与えてくれたら‥あなたはそれを選びますか?

今回は、「愛する人の死」と「最新技術」を軸にした映画・ドラマを紹介します。

もしあなたの体がなくなっても、意識だけが他の何か・・・・の中で生き続けたら‥
それは「生きている」と言えるでしょうか。

「体を一度分解してスキャンし、別の場所で寸分違わず組み立て直したら、それは”あなた”なのか、それとも”あなた”は死んで、記憶を持った別人が生まれただけなのか」

こうした思考実験は、哲学の世界で昔から真剣に議論されてきたテーマです。

実際に医学の世界でも、この問いは他人事ではありません。
脳死と判定されても、機械の力で心臓が動き、体温が保たれることがあります。

では、それは「生きている」のでしょうか、
それとも「死んでいるのに生かされている」だけなのでしょうか。

ここで紹介する作品たちは、この問いに対して
「愛する人の存在を、なんとか手元に取り戻そうとする」という共通のアプローチを取ります。

ただし、”何を”取り戻すのかは、作品によってそれぞれ違います。

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愛する人を、技術で取り戻せるか

レプリカズ(2018年)

神経科学者ウィリアム(キアヌ・リーブス)は、
交通事故で妻と3人の子供たちを一度に失ってしまいます。

悲しみに暮れる間もなく、彼は自らの研究成果
記憶をデジタルデータとして保存し、クローン技術で作った新しい肉体に転送する技術
を使い、違法と知りながら家族を”復元”しようと決意します。

しかし、クローン培養装置は1台足りず、
彼は末娘・ゾーイの存在を”消去”するという選択を迫られることに…。

「取り戻す」という行為の裏にある、もう一つの犠牲。
技術が救えるのは、本当に”すべて”なのか。
この記事の中でも、もっとも重いジレンマを描いた一本です。


レプリカズ(字幕版)

実際、家族を1度にすべて失ってしまった人は、この世の中に沢山います。
それを思うと、ウィリアムの行動を否定することは正直できません‥

しかし、末娘をあきらめなければならなかった事、
彼女の痕跡はあるのに、生き返った家族の記憶から消去されてしまったことは本当に悲しかったです。

しかし、ラストでは思わぬ展開になります。
それはそれで、「一度きりの人生」「命の重さ」について考える結果となりました。

トランセンデンス(2014年)

天才科学者ウィルは、
人類の未来のために意識を持つスーパーコンピューターの研究開発を行っていました。

しかし、反テクノロジーを掲げる過激派組織に銃で撃たれ、
弾丸に仕込まれていた放射性物質によって、余命わずかと宣告されてしまいます。

妻のエヴリンは、愛する夫を失いたくない一心で、
ウィルの脳をスーパーコンピューターにアップロード。

消滅するはずだったウィルの意識はコンピューター内で生き続け、
やがてネットワークの力で地球上のあらゆる知識を手に入れ、予想もしない進化を遂げていきます。

愛する人を失いたくないという想いが、やがて人類全体を脅かす存在を生み出してしまうとしたら…
それでも、あなたは同じ選択をするでしょうか。


トランセンデンス(吹替版)

今見返すと、うーん‥という設定もチラホラありますが
ウィルの行動はどんどんエスカレートしていき、ある種の狂気を感じます。
彼にのめり込んでいたエヴリンもまた、徐々に恐怖を感じ始める。

でも、ウィルは世界征服をしたかったわけではなく、
愛するエヴリンの望む美しい世界を取り戻したかったんだよね‥と思うと、
愛ってすごく純粋なほど、狂気と紙一重なのかなとも思えてくる‥。

でも、ナノテクノロジーで人体を急速に修復するという技術は、
正直、あってほしいと思ってしまう。

アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~ 全4シーズン

少し毛色は違いますが、こちらも死の概念を覆すお話です。

エミー賞受賞作を手がけたグレッグ・ダニエルズ(『The Office』『Parks and Recreation』)による、ユーモアたっぷりのSFコメディです。

アップロード Amazonドラマ

物語の舞台は、死後の世界さえも選べる近未来
人は命を落とす直前、自分の意識を豪華な仮想現実へアップロードできるようになっていました。

自動運転の車に乗っていたにもかかわらず事故に遭い、瀕死の状態で病院に運ばれた青年ネイサン。
恋人イングリッド(資産家一族の娘)の決断により、
ネイサンを高級デジタル天国「レイクビュー」への”アップロード”し進めます。

そこは美しい景色と完璧なサービスが揃った理想の世界のはずでした‥。
しかしその裏側には、課金システム、データ容量の制限、
そして現実世界にいるアカウント管理者の存在があります。

ネイサンは、現実世界で彼をサポートする顧客サービス係ノラと出会います。
仮想空間と現実世界という距離を超え、ふたりは次第に心を通わせていきます。

面白いのは、この”デジタル天国”にも経済格差が存在すること。
貧困層は容量制限つきの「2GBプラン」で暮らすしかなく、
ギガを使い切るとフリーズしてしまう……

死後の世界でも格差は続き、データ量で天国が決まる”皮肉な世界です。

アップロード Amazonドラマ②
アップロード~デジタルなあの世へようこそ

この作品は、単に”愛する人を取り戻す”だけの優しい話ではありません。

劇中に登場する権力者は、
死後もアップロードされ、生前と変わらず現実世界で権力を握り続け、選挙まで操作しようとします。

愛する人達と長く一緒にいるために使われた技術が、
権力を延命させるためにも使われてしまう‥
このアンバランスさも、この作品が描く近未来のリアルな怖さだと個人的には感じました。

ところどころ、無理やり終わらせたような設定や間延びしてると感じる部分もあるのですが、
実際にあったら面白いなという世界観でした。
ただ、グロテスクな部分も少しあるので、びっくりしないように。(笑)

この記事を書こうと思ったきっかけ

『箱の中の羊』(2025年)

正直に言うと、私はまだこの作品を観ていません。

ですが、ここまで紹介した『レプリカズ』と同じく、
「失った子供を技術で取り戻す」という構造の作品だと聞いています。

公開されている予告編を見たとき、頭に浮かんだ映画がありました。
『A.I.』です。
感情を持つAIロボットが「愛されたい」と願い続ける物語ですが、
本作は「愛したい」と願う親の物語なのではないか、と予告編を見ながら想像しています。

「羊」と聞くとクローン羊のドリーを連想してしまったのですが、
本作のタイトルは『星の王子さま』に登場する”箱の中の見えない羊”から着想を得ているそうです。

見えないのに、そこにいると信じる羊。
それは、失った息子の姿をしたヒューマノイドと、どこか重なるのかもしれません。

千鳥・大悟、「ルンバやん」ヒューマノイドの息子に戸惑い 映画『箱の中の羊』本編映像

余談ですが、主演の大悟さんが起用されたきっかけは、実は”ヤギ”だそうです。

監督の是枝裕和は、大悟がヤギと共演するバラエティー番組『ヤギと大悟』を見て、
その飾らない人柄に惹かれ、本作への出演を直感的に決めたのだそうです。

大悟さんは、「ヤギと歩いてたら、カンヌ歩くことになった。」
冗談を交えながら、いきさつを振り返っていました。(笑)

羊ではなく、ヤギ。(笑)

『人魚の眠る家』(2018年)

A.I.に続き、もう1つ思い出した映画です。
『箱の中の羊』と同じく日本映画で、
「子供の死」を真正面から描いた作品として、こちらも紹介させてください。

夫婦の娘が水難事故に遭い、脳死状態になります。
医師からは「脳死」と説明されるものの、人工呼吸器によって心臓は動き、身体は温かいまま。

母親(篠原涼子)は、娘を「死んだ」と受け入れられず、
夫(西島秀俊)の会社が関わる最新の医療・テクノロジーを使って、
娘の身体に”反応”を取り戻していきます。

やがて娘の手が動き、表情がわずかに変わる。
まるでそこに意思があるかのように‥。
それを見た周囲の人々の心も、少しずつ揺れ始めます。

娘は「生きている」のか。それとも、機械によって”動かされている”だけなのか。


人魚の眠る家

眠り続ける娘を外に連れ出し、徐々に周囲との温度差が出始める母親。
痛々しくも胸に刺さる彼女の主張は、「生きている、死んでいる」はどこが境界線なんだろうと……。 その答えは、受け取る人それぞれにあるんだろうな‥と思います。

皆さんもニュースで知っている方が多いかと思いますが、
原作者の東野圭吾さんは、惜しくも2026年7月に68歳で逝去されました‥

中学の時に読んだ
「毒笑小説」「怪笑小説」などのブラックユーモアな作風の印象が強かったので、
静かで痛みを伴う人間ドラマや、
重厚で切ないミステリーを描く、その引き出しの幅広さに驚かされていました。

この『人魚の眠る家』も、その真骨頂と言える作品だと思います。

参考:人と機械、その境界線はどこにあるのか

A.I.(2001年)

先ほど「箱の中の羊」で触れましたが、
こちらは愛情を組み込まれた子供型AIロボットが、病気の子供の代わりに夫婦に迎えられる物語。

実の子は後に奇跡的に回復しますが、AIはその後も母の愛を求め続けます。
人類が消えた遠い未来まで、母への想いを抱き続ける姿が印象的な一本。


A. I. (字幕版)

実の子とは違う容姿・子供が生きている間に購入されるなど設定は違いますが
人間て自分勝手で残酷だな‥って思った映画でした。

そして、天文学的な時間を経て、新しい生命体が存在する地球に、少しゾッとしました‥

アンドリュー NDR114(1999年)

ロボットが人間を愛し、自分も人間になりたいと奔走する物語。
「テセウスの船」的なジレンマを描き、”人間とは何か”を考えさせられます。


アンドリューNdr114

生死と技術の話ではありませんが、機械と人間の境界線は?
と考えれば考えるほど迷宮入りしていきます。

ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年)

電脳化が当たり前になった近未来。
人々は脳や身体の一部を機械に置き換えることで、人間を超えた身体能力を手に入れています。

主人公は全身義体のサイボーグとして、常人離れした能力を駆使し任務にあたりますが、
実は彼女自身の記憶は、彼女の身体を無断で利用した企業によって意図的に消去・改ざんされたものでした。
トランセンデンスでもありましたが、自分が管理されるという恐怖を感じる作品です。


ゴースト・イン・ザ・シェル (字幕版)


ちなみに、この主人公のスカーレット・ヨハンソンさんの近未来系の映画は結構好きです。
最近は、あまり見かけなくなってしまいましたが…

アイ、ロボット(2004年)

アシモフのロボット工学三原則を軸にした近未来ミステリー。
ロボットが人間の意思を上回る判断をし始めたら?という問いを投げかけます。


アイ,ロボット (字幕版)

もう5回は観ているのに、ラストを思い出せない映画です(笑)

余談:登場人物の名前に隠された意味

エヴリン、エヴァ、そしてもう一人のエヴァ

映画を見ていくなかで、面白いことに気づきました。

『トランセンデンス』の主人公の妻の名前は「エヴリン(Evelyn)」ですが、
この名前は古くから聖書の”イヴ(Eve)”の愛称形として結びつけて語られてきました。

綴りの由来を辿ると本来は別系統の名前なのですが、
それでも私は「エヴリン=イヴにゆかりのある名前」として、
この映画では意味を持たせて名付けられているのではないかと思っています。

“イヴ”は、旧約聖書に登場する人類最初の女性。すべての人間の”母”とされる存在です。

以後ややこしくなるので、表を貼っておきます。

映画名ヒロイン名相手役
トランセンデンスエヴリン(Evelyn)ウィル(Will)
エクスマキナエヴァ(Ava)ケイレブ(Caleb)
ロスト・エモーションエヴァ(Eva)サイラス(Silas)
レプリカズ娘ゾーイ(Zoe)ウィリアム(William)

実はこの”イヴ”を思わせる名前、他の作品にも登場します。

以前このブログで紹介した『エクスマキナ』のアンドロイド「エヴァ(Ava)」も、その一人です。
監督のアレックス・ガーランド自身が
「Eveという名前は直接的すぎる」と語った上でAvaにした事を明かしており、
劇中のエヴァは、世界で初めて”真の自己意識”を持ったアンドロイド、”最初の女性”として描かれています。

今度紹介予定の『ロスト・エモーション』にも、「エヴァ」という名前が登場します。
ネタバレしてしまうので、ここでは書きませんが、
これまでの自分を捨て、新しい世界で”最初の一歩”を踏み出すための名前として登場します。

トランセンデンスのエヴリン、エクスマキナのエヴァ、ロスト・エモーションのエヴァ‥
背景はそれぞれ違いますが、共通しているのは「何かの”最初”を担う女性」というテーマなのかもしれません。

男性陣の名前にも、実は意味がある

この記事に登場する男性名にも面白い由来があります。

エクスマキナでエヴァに一途に尽くす青年「ケイレブ」は、
聖書では“忠実な者”を意味する名前です。
そして、ケイレブはその一途さの果てに裏切られてしまう、皮肉な結末を辿ります。

トランセンデンスの主人公「ウィル(Will)」も、
英語で「意志・意思」を意味する”will”がそのまま語源。

しかも「ウィル」は「ウィリアム(William)」の愛称形で、
ウィリアムはゲルマン語の「willo(意志)+helm(兜・守護)」に由来し、
正式には「意志の兜(意志を持つ守護者)」という意味を持つ名前です。

肉体を失っても”意志”だけがネットワークの中で生き続けていく‥
意志をもってエヴリンを守る‥
トランセンデンスのウィルの物語は、その名の意味とどこか重なります。

そして、レプリカズの主人公も「ウィリアム」。
トランセンデンスのウィルと、奇しくも同じ名前でした。
しかも彼が結局”取り戻せなかった”末娘の名前は「ゾーイ(Zoe)」。
ギリシャ語で「生命」を意味する名前です。

命そのものを取り戻そうとした父親が、皮肉にも”命”という名を持つ娘だけを失ってしまう‥
そんな構造が、この名前には隠されているのかもしれません。

そしてロスト・エモーションの主人公「サイラス」は、
ラテン語で”森・森に住む者”を意味する名前だそうです。

興味深いのは、この意味が彼自身の物語の軌跡とも重なっていくこと。
物語の中盤、サイラスはヒロインのもとを離れ、
木の生い茂る場所で働き始め、最終的には緑が広がる半島へと向かいます。

感情を排除された無機質な都市から、
“森”を意味する名前を持つ男が、実際に森へ森へと導かれていく‥
まるで彼の名前そのものが、辿り着くべき場所を示していたかのようです。

※『ロスト・エモーション』は近日中(?)に単体の紹介記事も書く予定ですので、
気になる方は先に配信状況だけチェックしてね♪

ロスト・エモーション(字幕版)


名前と作品を整理すると、こうなります。

映画名ヒロイン名 → 意味相手役 → 意味
トランセンデンスエヴリン(Evelyn)
→ 古くから”イヴ”の愛称形として結びつけられてきた名
ウィル(Will)※ウィリアムの愛称
→ ゲルマン語でwillo(意志)
エクスマキナエヴァ(Ava)
→ “イヴ”の変形。新しい人類の”最初の女性”
ケイレブ
→ 聖書で「忠実な者」
ロスト・エモーションエヴァ
→ “イヴ”にちなんだ名前
サイラス
→ ラテン語で「森・森に住む者」
レプリカズ娘ゾーイ
→ ギリシャ語で「生命」
ウィリアム
→ ウィルと同じ。

まとめ

ここで紹介した作品たちは、「愛する人の死」に対し、それぞれ違う答えを出しています。
肉体を取り戻す者、記憶をデータに移す者、クローンとして蘇らせる者。
感情の面から見れば、どれが正解ということもないのだと思います。

ただ一つ言えるのは、技術がどれだけ進化しても、
「大切な人を失いたくない」という気持ちだけは、変わらないのかもしれません。

あなたなら、どの”取り戻し方”を選びますか?

本日も、長々とお付き合いくださりありがとうございました!

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